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SPD(サージ防護デバイス)による誘導雷サージ対策 その4

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(4)基板実装SPDC(Surge Protective Device Component)によるAC電源のサージ対策事例

エアコン、冷蔵庫、洗濯機や屋外LED照明のように接地を含む電子機器におけるAC電源の雷サージ対策は対地間にバリスタ(MOV)とガス入り放電管(GDT)を直列接続することで対地間15kVのような高いサージ電圧にも防護が可能となる。
GDTのメリットは上記の他に漏れ電流が小さいのでAC耐電圧試験対応GDTを使用することにより、電源機器のAC耐電圧試験を行う際にサージ対策部品を外さずに対応できる。
その場合にはGDT+MOVの雷サージ抑制電圧が高くなるため、後段の回路に影響がないことを確認する。



RA-V7 RHCA5639(335) R26 R28
図7. 基板実装での電源機器サージ対策回路とGDT

(5)基板実装でのSPDCによる通信・信号回線のサージ対策事例

通信・信号回線では通信用ICが雷サージで壊れることがある。 その場合は、GDTと、シリコンサージアブソーバー(ABD)、GDTとABDの間に抵抗器またはコイルを図8のように接続することで対策が可能となる。  この回路の動作原理は、雷サージが侵入すると最初に低電圧で応答するABDが動作する。この時サージ電流が抵抗に流れることで電圧降下が発生。その電圧によってGDTが放電しサージ電流を大地に放流する。   ここでABDのインパルス電流耐量がツェナーダイオードのように小さいとGDTが動作する前にABDがサージ電流で壊れてしまうことがあるため、ABDのインパルス電流耐量の選定が重要となる。  弊社シリコンサージアブソーバーは比較的高い電流耐量を有しており、数Ω程度の抵抗器またはコイルでもGDTと協調できることを特徴としている。



GDT RHCA4532(2kA) GDT R5K(5kA) ABD U/B200 ABD SS
図8. 基板実装での通信機器サージ対策回路とGDT、ABD

おわりに

SPDによる誘導雷対策の基本的な点を述べたが、SPDは誘導雷サージを完全に抑制できるものではなく、一定の残留電圧が存在する。

各種センサーや半導体デバイスには耐電圧が低いものが存在し、SPDで対策してもSPDで抑制された電圧にも耐えられずに壊れるケースがある。
今後、様々な機器においてIoTとAIを駆使した多機能化と大容量データの高速伝送処理化が進むにつれ、様々なセンサーや半導体デバイスの使用頻度が増加する状況で上記のような雷による障害のケースはますます多くなることが想定される。そのため、より低い電圧抑制性能を有し、なおかつ安全性の高いSPDの実現が今後の課題となる。弊社でも、よりニーズに適する雷害対策製品を提供できるよう取り組んでいく。

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