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ノイズフィルタとは?仕組みと役割、選定および取付方法を解説

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電子機器を安定して動かすうえで、ノイズへの対策は欠かせない要素です。普段は意識する機会が少ないかもしれませんが、私たちの身の回りにある家電やオフィス機器、産業機械の内部には、ノイズの影響を抑えるための部品が数多く組み込まれています。その代表が、ノイズフィルタです。
本記事では、主に電源ラインのノイズを取り除く「電源用ノイズフィルタ」に焦点を当て、その基本的な役割やノイズを除去する仕組み、そして現場で役立つ選定・取り付け時の注意点までをわかりやすく解説します。


ノイズフィルタの基礎知識

はじめに、ノイズフィルタとは何かという基本的な部分から確認していきます。あわせて、なぜ電子機器にとってノイズが問題になるのか、どのような種類のノイズが対象になるのかも整理していきましょう。

ノイズフィルタの定義と役割

ノイズフィルタとは、電源ラインや信号ラインに混入する不要な電気的な雑音、すなわちノイズを取り除くための部品です。通したい本来の信号や電力は通過させながら、不要なノイズ成分だけを減衰させる 役割を持ちます。

電源回路や通信回路、産業機械の制御盤など、ノイズフィルタが使われている場面は実に幅広い分野にわたります。電子機器の小型化と高機能化が進むにつれ、ノイズフィルタの重要性も年々高まっています。

ノイズが電子機器に与える問題

ノイズが機器に侵入すると、さまざまな不具合の原因になります。代表的なものが、制御回路の誤動作 です。微弱な信号でやり取りしている回路にノイズが乗ると、本来の信号が正しく読み取れず、思わぬ動作を引き起こす場合があります。

また、通信の品質低下や通信エラー といったトラブルも、ノイズが関係しているケースが少なくありません。さらに、自分の機器が発したノイズが他の機器に影響を与えてしまうと、製品としての信頼性そのものが問われる事態にもつながります。

対象となる伝搬ノイズの種類

ノイズは、その伝わり方(伝搬ルート)によって、大きく二つに分けられます。一つが、空間を電波として伝わる放射ノイズです。もう一つが、電線やケーブルなどの配線から直接伝わる伝導ノイズです。になります。

ノイズフィルタが主にターゲットとするのは、この配線を伝わってくる伝導ノイズです。伝導ノイズには、電源ラインの2本の電線の間を往復する「ノーマルモードノイズ」と、2本の電線に同じ向きで乗って大地(グランド)を介して戻る「コモンモードノイズ」という二つのモードがあり、それぞれに適した内部構造による対策が求められます。

果たしている役割

ノイズフィルタは、機器を内側から守る働きと、外側への悪影響を防ぐ働きの両面を担っています。

外部ノイズの侵入防止(イミュニティ対策)

ノイズフィルタの最も基本的な役割は、電源ラインを通じて外から入ってくるノイズを遮断し、機器を安定して動作させることです。

近年は、産業機械から家電まであらゆる機器にマイコンや高度な制御回路が搭載されています。これらの回路はノイズに敏感なため、工場の雷サージや他の機器が発したノイズが届くと、データの破損や誤動作、最悪の場合は故障を引き起こします。入口の段階でこれらを徹底的に減衰させてノイズ耐性(イミュニティ)を高めることが、あらゆる電気機器の信頼性を支える基盤となります。

内部ノイズの外部への放出抑制(エミッション対策)

二つ目の役割が、機器自身が原因となって発生するノイズを外部へ放出しないようにすることです。インバータやスイッチング電源のように、内部で高速に電流をオンオフする回路は、その動作に伴ってノイズを発生させます。

こうしたノイズが電源ラインを通じて外部へ流出すると、同じ電源コンセントにつながっている周辺のテレビや通信機器など、他の機器に悪影響を与えてしまいます。EMI(電磁妨害)に関する法規制や規格に適合するためにも、放出ノイズを規定値以下に抑えるためのノイズフィルタの設置が不可欠です。

ノイズを除去する仕組み

役割の次は、ノイズフィルタがどのようにしてノイズを取り除いているのか、その仕組みを見ていきましょう。基本的な動作原理から、内部に使われている部品、そして信号とノイズをどう区別しているのかまでを順番に解説します。

基本的な動作原理

ノイズフィルタの動作原理を一言で表すと、周波数による選別です。電源として使われる商用周波数の50Hzや60Hzは通過させ、それよりも高い周波数のノイズ成分には大きな抵抗を示すことで取り除きます。

この性質を実現しているのが、コイルとコンデンサです。コイルは周波数が高くなるほどインピーダンスが大きくなり、コンデンサは逆に周波数が高いほどインピーダンスが小さくなります。二つの部品を組み合わせることで、ノイズ成分だけを効果的に遮断できる回路が構成されます。

主要な構成部品とその働き

典型的な電源用ノイズフィルタは、以下のような部品で構成されており、それぞれ対になるノイズに対して効果を発揮します。

  • コモンモードチョークコイル: 2本の配線に同じ向きで乗る「コモンモードノイズ」を抑制する
  • ノーマルモードチョークコイル: 2本の配線の間を往復する「ノーマルモードノイズ」を抑制する
  • Xコンデンサ(アクロス・ザ・ライン・コンデンサ): 電源ラインの線間に接続し、ノーマルモードノイズを抑える
  • Yコンデンサ(ラインバイパスコンデンサ): 電源ラインと大地の間に接続し、コモンモードノイズをグランドへ逃がす

これらの部品を組み合わせ、対象となるノイズの種類や周波数帯に合わせて最適なフィルタ回路が設計されています。

ノイズフィルタ回路

通過させる信号と除去する信号の違い

ノイズフィルタが通過させたいのは、機器を動かすために必要な電力や信号です。電源用フィルタであれば商用周波数の電力、信号用フィルタであれば本来やり取りしたい通信信号にあたります。

一方で、除去したいのはそれらに重なって混入している高い周波数のノイズ成分です。両者は同じ電線の上で混在しているため、ノイズフィルタは周波数の違いを手がかりに、必要な成分とそうでない成分を切り分けています。

電源用ノイズフィルタの選定ポイント

ノイズフィルタにはいくつかの種類がありますが、当社の主要製品である「電源用ノイズフィルタ」を選定する際には、以下の実務的なポイントを確認しておく必要があります。

電圧・電流容量と必要な減衰特性

まず、使用する電源の電圧(単相か三相かなど)と、回路を流れる電流容量(定格電流)を確実に満たす製品を選ぶ必要があります。その上で、機器から発生している、あるいは侵入してくるノイズの周波数帯と、それをどれだけ落としたいか(減衰量)の特性に合わせて選定します。

安全規格と漏洩電流(漏れ電流)の許容値

電源用ノイズフィルタを選定する上で極めて重要なのが「漏洩電流(漏れ電流)」の管理です。コモンモードノイズを逃がすために設置される「Yコンデンサ」は、その性質上、定常時にもわずかな漏洩電流を対地に流してしまいます。この電流が大きすぎると、漏電ブレーカーの誤動作や感電防止などの安全規格(あるいは安全性要求)に抵触する恐れがあります。そのため、当社の製品ラインナップには、用途や回路条件の安全基準に合わせて適切なYコンデンサの容量を選択できる「Yコンデンサ選択型タイプ」のノイズフィルタもご用意しています。安全規格のクリアとノイズ抑制効果を両立させるためには、この漏洩電流を考慮した仕様選定が不可欠です。

取り付け時の注意点

どれほど優れたノイズフィルタを選定しても、物理的な取り付け方法を誤ると本来の性能を発揮できません。特に注意しなければならない点は2つあります。

まず、入力と出力は近づけないこと。フィルタ前の「ノイズを含んだ配線」と、フィルタ後の「ノイズを取り除いた配線」を束ねたり近づけたりすることで、空間を介してノイズが再結合します。次に、アースを太く短くすること。グランド接地のアースは、筐体直付けがベストです。ノイズの逃げ道となるアース線のインピーダンスを徹底的に下げることが、ノイズフィルタのポテンシャルを最大限に引き出す鍵となります。

ノイズフィルタの取り付け方

まとめ

電源用ノイズフィルタは、電源ラインに混入するノイズを取り除き、電子機器を安定して動かすために欠かせない部品です。機器内部の誤動作を防ぐと同時に、機器自身が発するノイズの放出を抑え、外部からのノイズに対する耐性も高める役割を担っています。

選定の際は、定格や減衰特性だけでなく、漏洩電流と安全規格のバランスを考慮することが重要です。そして、入力・出力の分離やアースの最短化といった正しい取り付けを行うことで、はじめて確実なノイズ抑制につながります。基本を押さえたうえで、状況に合った最適な製品を選びましょう。

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